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【ブレインテック】脳情報通信技術がGoogleとAmazonのプラットフォームに与える衝撃!

【ブレインテック】脳情報通信技術がGoogleとAmazonのプラットフォームに与える衝撃!IT・テクノロジー
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世界中で脳神経科学と人工知能の融合分野において、優れた脳の基礎研究結果を社会還元するために様々な新技術「ブレインテック」の研究開発を加速させている。

日本においても2050年までに認知能力や知覚能力をトップレベルにまで拡張するムーンショット型研究開発制度の開発目標を公表し、ブレインテックを世界最先端の技術として競争力を維持するために日本の国家的戦略として身構えるつもりだ。

ブレインテックがあらゆる分野で社会実装されると、いよいよ「脳とつながる」ことが現実味を帯びるだろう。なぜ世界がブレインテックに注目するのか、その理由などについて考察する。

ブレインテックの各国の取り組み

これまでWisseedが取り上げてきたIoTや人工知能といった第4次産業革命の技術革新分野とは異なり、ブレインテック分野は未だ解明がされていない脳神経科学が領域となる。ブレインテックは最新の脳神経学の研究結果を追い続ける形で欧米、イスラエル、中国などが官民一体で国家戦略としてプロジェクトを立ち上げ、新しいサービスの研究と開発を行っている。

まず各国のプロジェクトの特色を紹介する。

【中国】China Brain Project

中国ではAIと並行して脳疾患治療研究を推進している。脳機能の研究を進めるうえで、ディープラーニングを強化させたAIにより、格段に人間の認知機能に近い脳の動きを模したAIに発展させようとしている。脳と機械をつないで脳の内部や機能、疾患を治療する技術「BMI(ブレイン・マシン・インターフェース)」技術によって、脳の神経疾患の診断や予防に役立てるつもりだ。

ただ、BMI技術が確立されると医療分野で利活用されるほかに、脳内信号を外部に送る特徴を使い、脳波でロボット制御やドローンを飛ばすことや、会話ではなく脳神経の信号を使って脳情報通信と言われるテレパシーの様なコミュニケーションの実現が可能となることから、軍事利用される可能性もある。

ブレインテックの各国の取り組み

【アメリカ】Brain Intiative

アメリカでは官民一体の国家研究プロジェクトで、脳の特定部位に電気信号を与えて記憶力を回復させる研究が進んでいる。それにより、認知症予防や2025年までにアルツハイマー型認知症などの脳疾患治療を確立しようとしている。予算規模は年々上昇し2019年度は5億ドルとなっており、かつてのアポロ計画やヒトゲノム計画に匹敵する。ヘルスケアや教育、スポーツ分野で学習効率を上げたり、アスリートのメンタルトレーニングの研究にも着目している。アメリカではブレインテックのことを脳のニューロンからとってニューロテック(NeuroTech)とも呼ばれているようだ。

【EU】Human Brain Project

EUでは脳のモデル化を掲げ、フラッグシッププログラムの一つとして採択した。脳に着想を得たICTや脳情報ビッグデータなどの脳情報関連技術を活用し、人工脳を開発することが究極の目標だ。人間の脳の動きを理解することを通して、情報技術、医療、社会的問題の解決を目指そうとしている。そのため脳に関するあらゆる研究を統合して、巨大なデータベースと脳のコンピュータモデルの開発を重視しているのだ。

【イスラエル】Brain Nation

イスラエルはスタートアップの創出地として知られているが、ブレインテックの発祥の地でもある。アメリカがサイエンスを中心に推進するのに対し、イスラエルはブレインテックを活用した事業へ創業支援や資金支援を行い、ビジネスを中心にブレインテックを推進している。脳の研究を通して脳を理解し向上させることを目的とした脳科学研究及び技術開発の飛躍的な成長を遂げている。現在流通しているヘッドセットの殆どがイスラエル製なのだという。

【日本】Brain /MINDS

日本はというと、文部科学省が社会に貢献する脳科学を提唱し、「脳科学研究戦略推進プログラム(脳プロ)」を立ち上げ、社会に貢献する脳科学の実現を目指している。脳プロの代表機関でもある理化学研究所は脳地図を活用した脳の構造と機能の可視化などを目的としたプロジェクト「Brain /MINDS」を2014年に開始した。下図はブレインテック企業のメディアシークが発表したブレインテックカオスマップ2020年版だ。人口900万人のイスラエルで約100社のスタートアップ企業が活動していることから見ると、意外と少ない。

ブレインテックカオスマップ

引用:メディアシーク「ブレインテック カオスマップ2020

 

<2024年>ブレインテック世界市場が5兆円規模に

スタートアップ企業が次々と登場したことから、世界が脳神経科学に注目している。ブレインテックは脳波から脳の状態を分析(見える化)し、刺激を行って状態を変化させるテクノロジーで人間の可能性の最大化を目指している三菱総合研究所の試算によると、ブレインテックの市場規模は2024年には5兆円規模になるとの予測されており、世界が注目をするのも頷ける。

ブレインテック技術が伸びる発端は、パソコンの処理速度が向上したことや、脳神経科学が飛躍的に進歩するとともに、脳活動測定機器のセンサー技術が格段と上がったからだ。

センサー技術が発達したことで、脳波の測定が容易になったり、瞳孔の動きから脳の状態を「見える化」出来るようになった。こうしたことが各国で技術開発を進めているBMI技術(ブレイン・マシン・インターフェース)BCI技術(ブレイン・コンピュータ・インターフェース)を進展させた。脳からの信号取得や解析をして脳と機械やコンピュータを直接接続する技術の研究開発が加速している。これによって脳と繋がることが現実味を帯びており、脳から直接ニーズをダイレクトに把握することが出来るニューロ・マーケティングなどに応用されることになるだろう。

また、スマホやスマートウォッチの登場で、より測定は身近なものとなり、病院に行かなくても脳波や脳血流が見えるため、ヘルスケアや医療での活用がされ予防医療への貢献も大きくなる。日本でも医療で活用できる基礎研究が進んでいるが、医療分野での認可はハードルが高く、時間と費用がかかることからも、まずはヘルスケア分野での活用が進んでいくのではないか。

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ブレインテックがGAFAを切り崩す可能性

ブレインテックがGAFAを切り崩す可能性

イーロン・マスク氏がNeuralink(ニューラリンク)というベンチャー企業を立ち上げ、100万個の神経細胞とコンピュータを同時接続させることで、人間とコンピュータ間のテレパシーを実現しようとしている。これが実現されるようになると、人間はコンピュータを通じて言葉を話さなくても他人と話せるようになる。また、GAFAの一角であるFacebookでは頭で考えただけで文字入力ができるシステム開発に取り掛かっている。さらに京都大学が研究している「fMRI」は頭の中のイメージを機械学習を使って解析し映像化するシステムが開発されている。まだ精度が高いものではないが、着実にブレインテック技術が進歩している。

頭の中で描いたイメージや言葉を直接他の人に伝えることが出来る未来では、人が何を見ていたか、イメージしていたかも再現することが出来る。その技術が先述のニューロマーケティングに応用されていく訳だが、これからの5年で進むとされていた「音声検索」や「音声入力」にとって変わる可能性が高い。音声で入力するよりも頭で考えたほうが早いからだ。

また、マーケティングの観点から考えても「言葉や文字は嘘をつけても脳は嘘がつけない」ことが着目点となる。人がイメージしたものや心で感じたものをfMRIでの計測によってAIが顧客のニーズを認識し、最適な商品やサービスの提案やマッチングサービスを提供したほうが顧客満足度は高くなるだろう。

これらの脳情報通信領域の未来がGAFAを切り崩す可能性がある。それはGoogleやAmazonがスマホやパソコンを使って手や音声で入力することを前提に作られているからだ。脳からの直接入力やイメージの解析が進めば、従来のインターフェースの変更が必要となってくる。もしGoogleやAmzonより先にスタートアップ企業が次世代のプラットフォームを確立するようなことがあれば、GAFAの枠組みは崩壊し、世界は新たな時代へと向かうだろう。

ブレインテックを取り巻く新技術は世界中で様々な研究開発が進んでいる。日本には世界から見ても優秀な脳神経科学者がいるので期待したいところだ。とはいえ、世界のビックテック企業が相手では日本企業単体での開発予算では追いつけない。日本のブレインテックカオスマップからもわかる通り、まだ参入企業が少ないことで他国と比べ周回遅れになる心配がある。世界に遅れを取る前に複数の民間企業がタッグを組んでブレインテック分野に本腰を入れることが不可欠だ。

日本のブレインテックでの勝機は、研究者が多いブレインテック分野で、顧客のニーズを的確に把握し、ビジネス化をできるコーディネーター(企業と投資家を繋ぐ人)を育てる他にない。Society5.0の未来の社会に日本発のブレインテックが世界に発信できることを祈りたい。

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