サステナビリティ

Society5.0で創る新しい社会

Society5.0で創る新しい社会サステナビリティ

「Society5.0」は人がより働きやすくより豊かに生活できる社会「超スマート社会」の実現のためにIoT、AI、ビッグデータ、ロボットなどのネットワーク技術・デバイス技術を取り入れ、サイバー空間とフィジカル空間が融合した社会を目指します。

では、Society5.0の取り組みにより実現する新しい社会は、私たちの暮らしにどのような変化をもたらせてくれるのでしょうか?

Society5.0を実現するために構成される10の分野

Society 5.0では、AIによるビッグデータ解析、最新テクノロジーの活用により、生活の発展、人手不足やコスト削減といった様々な問題を解決することが可能になります。

ここではSociety5.0を実現するために構成される取り組みを「都市・地方、移動、エネルギー、健康・医療・介護、金融、防犯・防災、食品、農業、製造、行政」の10分野に分け、各分野ごとに解説します。

都市・地方(スマートシティ)

都市・地方(スマートシティ)

都市・地方では少子高齢化や人手不足、住民が偏在しているといった人口に関する問題や、都市発展に伴う食料やエネルギーの消費量増加による資源不足問題などを抱えています。

スマートシティとは、ビッグデータやAIといったICTを用いてインフラやサービスを効率的に運用・管理することで、人々の豊かな生活と経済発展を目的とした持続可能な都市作りを目指すプロジェクトです。

スマートシティが実現することで、少子高齢化による人手不足の解消、食料やエネルギーといった資源の管理が可能になり、人と環境に配慮した都市や街が誕生します。

移動(スマートモビリティ)

移動(スマートモビリティ)

都心部での渋滞や多発する事故、過疎地域における電車やバスの運行本数の減少など、日本はモビリティ(移動)においても様々な課題を抱えています。

スマートモビリティでは、自動運転技術やIoT技術で収集したビックデータをAIで解析することで、「新しい移動のカタチ」を創造していく取り組みを進めています。

今後自動運転が実現すると、AIが天気や交通情報を把握し、事故や渋滞を避けて安全なルートを予測することが可能になり、これまでよりもスムーズな移動ができるようになります。また交通手段の少ない過疎地域では、無人走行バスやロボットタクシーといったサービスが提供され、高齢者や障がい者の方のニーズに合わせた移動が可能になります。

その他にも、複数の移動手段を統合化する「マルチモーダルサービス」や乗り物を共有利用する「シェアリングサービス」、自動車の空席を活用した相乗り「ライドシェアリング」など、AIやビックデータといったIoTを活用した新たなサービスが普及していきます。

エネルギー(スマートグリッド)

エネルギー(スマートグリッド)

世界では経済発展と同時に電気の使用量が大幅に増え、電気の供給量の不足や停電などの問題が発生しています。またエネルギー発電時に発生するCO2排出による地球温暖化といった課題も抱えています。

スマートシティを実現するためには、エネルギーの生産と消費を最適化するスマートグリッド構想が必要不可欠です。スマートグリッドはエネルギーの供給側と需要側をICTによって双方向ネットワークで結ぶ次世代の伝送配電網のことで、エネルギー供給安定化の対策として、ICTを活用したEMS(エネルギーマネジメントシステム)を推進していきます。

EMSは電気などのエネルギーの使用状況を「 見える化 」し、その使用状況を分析することで、的確な需要を予測できるようになります。また発電所の稼働状況などを管理し把握することで、エネルギーを安定して供給することも可能になります。

天候によって発電量が安定しない太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーも蓄電池を設置することで安定します。そしてEMSが促進され、エネルギーの無駄をなくすことが可能になり、エネルギー不足問題の解決に繋がります。

このように新しい技術を活用し、各自治体や企業が連携して取り組むことで、経費やGHG排出、CO2排出を削減する低炭素な社会を目指し、地球温暖化を防止します。

各家庭においても太陽光発電システムの活用が進んでおり、時間帯別、天候別の電気料金といった、エネルギーの消費量を確認できるようになったことで、日常生活でも環境や省エネへの意識が高まっています。また燃料電池、太陽電池によって自宅での電力の自給が実現し、余った電力は蓄電池に貯蔵して他の用途の使用が可能になりました。

スマートグリッドは環境に優しく持続可能なエネルギーシステムを目指しています。

健康・医療・介護(スマートヘルスケア)

健康・医療・介護(スマートヘルスケア)

少子高齢化問題の影響により、専門医の人手不足や医師の高齢化、地方の医師の偏在化など、様々な医療問題を抱えています。

また介護問題においても、介護施設や従業員不足、自宅での介護ができないといった介護難民が増加しています。それに伴い、高齢者の孤独化、コミュニケーション不足が問題となっています。

スマートヘルスケアでは、医療に関する情報を共有することにより、患者の健康状態をリアルタイムで管理し、病気の早期発見に繋げます。生活支援においても医療ロボットによる介護や会話などの手助けが行われ、人手不足や人件費の削減を解決する役割が期待できます。また、ロボットによる手術で正確性が増し、医療ミスを防ぐことにも期待できます。

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金融(キャッシュレス)

金融(キャッシュレス)

キャッシュレスによる金融サービスの導入にはコストと時間が掛かります。また、国内は現金決済が多いため、消費データの蓄積が進行しないといった問題もあり、日本はアジア他国と比べキャッシュレス化の浸透が遅れています。

政府はキャッシュレスを促進するための取り組みとして、中小企業者へのキャッシュレス端末導入による補助、フィンテックの実用化によるイノベーションの進展やキャッシュレス決済対象者によるポイント還元、税や公金のキャッシュレス化によるインフラの整備などを進めています。こうした取り組みは効率的な支払い・サービスが実現することに繋がります。

Socity5.0ではキャッシュレス化を推進すべく、現金を扱うことなく、誰もが簡単で安全な支払いや送金ができる社会を目指します。

防犯・防災(スマートセキュリティ)

防犯・防災(スマートセキュリティ)

Society5.0では様々なネットワーク技術・デバイス技術を取り入れることで、新たなサービスの導入や情報共有といった暮らしの利便性が向上します。しかし、利便性が高くなることでインターネットに接続されるサービスやモノ、そして様々なデータがサイバー攻撃の対象となるリスクも高まります。

そのため、Society5.0に適したセキュリティの確保やデータの真正性の確保、個人情報の保護といった適切な管理システムを明確化することを前提に、防犯の対策をしなければなりません。

一方、防災に関しても問題があります。
日本各地で起こる地震や津波、火災などの自然災害を完全に防ぐことはできません。従って被害を最小限に抑えることが重要となります。しかし、救助隊は人手不足のため少人数で広範囲にわたる被災地への防災対策を行わなければならず、また避難所への支援物資も届くまで時間がかかります。

スマートセキュリティが実現すると、個々の端末へ被災情報や避難情報が提供され、安全な避難ルートが確保されるようになります。救助ロボットによる被災者の早急な発見とアシストスーツを駆使した迅速な救助により、救助隊不足の手助けにつながります。また、被災地への救援物資としてドローンや自動配送車によるスピーディーな配送が可能になります。

食品(スマートフード)

食品(スマートフード)

世界で人口が増加するなか、食料においても様々な課題があります。特に食料廃棄の問題は深刻で、商品の発注ミスや賞味期限の近い食品を客に販売しない、まだ食べられる食品をそのまま廃棄処分とする食品ロスが後を絶ちません。その結果、2016年の日本における食品ロスの量は642万トンに達しています。

スマートフードでは、市場や店舗の在庫情報をAIで解析することで生産者や店舗による正確な在庫管理が可能となり、顧客ニーズに合った生産や発注を実現することができます。そして国連の設けた「食品ロスの削減の推進に関する法律」による、食品廃棄物の発生量やリサイクル等の実施率などの報告を必須とし、食品ロスへ向けた削減を目指していきます。

また各家庭では、冷蔵庫に搭載されたAIが自宅にある食材を把握し、必要な分だけ食材を購入したり、その食材で作れる料理や栄養バランスの取れたレシピの提案を受けることもできるようになります。

スマートフードの普及によって「食」への考え方も変化していくことでしょう。

農業(スマート農業)

農業(スマート農業)

農業就業人口は200万人、平均年齢は66歳となっており、農業従事者の高齢化や担い手不足、後継者不足による農業就業人口の減少が深刻化しています。また農業は熟練者の経験や勘によるところも多く、収穫や収益が出るまでに時間が掛かるため、新規就農業者が増えにくいビジネスモデルでもあります。さらに農作業による肉体労働は高齢者や女性にとって負担が大きいことも改善が必要です。

スマート農業が実現すると、ロボットトラクターによる農作業の自動化やドローンによる生育情報の自動収集、天候予測が期待でき、経験が浅くてもやる気のある若者や女性でも高度な技術の習得が可能となります。また、機械作業により人手不足問題の解決、AIによる正確性の向上により適切な食料の流通量を日ごとにコントロールし、安定的に生産が可能となります。生産、流通、消費を通じた食育の推進や、地産地消の推進を通じて廃棄の削減やトレーサビリティの確立、さらには食料自給率も改善していくことでしょう。

製造(スマートファクトリー)

製造業は人手不足、少子高齢化問題、未経験者の育成及び高度な専門知識・技術を身につけた経験者の確保や機械の故障などが課題となっています。

スマートファクトリーはドイツの「インダストリー4.0」を具現化する手段として位置づけられた取り組みで、製造業のデジタル化による製造効率の上昇、在庫管理、人材不足の改善、さらには時間の掛かる技能継承など、製造の効率化と高品質化を目指しています。

また、工場内の設備の不具合や機械の故障を予知し、あらかじめ部品交換などを行うことで事故を未然に防ぐ「予知保全」も期待が高まり、高齢労働者の疲労による事故の削減になります。

行政(デジタルガバメント)

行政(デジタルガバメント)

2019年世界銀行が発表したビジネス事業環境ランキングにおいて、日本は先進国36カ国中25位となっており、日本の事業環境は国際的に見劣りしています。

手続きの簡素化やデジタル化を各種行政サービスでも推進し、行政手続きの電子化にとどまらず、多種多様なデータ連携が可能な環境を構築することが重要と考えています。ランキング下位の分野について抜本的な取り組みを行い、「世界で一番、企業が活動しやすい国」の実現しようとしています。

【法人設立30位】法人設立手続きのオンライン・ワンストップ化

経済協力開発機構(OECD)諸国と比べ手続き数が多い課題に対し、2020年1月より法人設立関連手続きをオンラインで可能とする「法人設立ワンストップサービス」をスタートするなど手続きの迅速化を図っております。

【納税26位】税・社会保険手続きへの取り組み

電子申請や納税の促進を目的とした地方税共通納税システムにより、申告から納税事務を一括してオンライン化や社会保険・税手続きのオンライン・ワンストップ化により電子納税の普及と促進を狙っています。

【契約執行24位】裁判手続きなどのIT化の推進

民事訴訟における裁判手続き等のIT化の実現を目指し、AIやITを活用した裁判外紛争手続きオンライン化(ODR)の検討をするなど、紛争の多様化への対応を狙っています。

【輸出入31位】貿易手続き、港湾物流手続きの改善

多くの貿易手続きの関係事業者は紙・PDF・電話などで情報のやりとりが行われており、全体最適化が必要です。輸出入・港湾諸手続きなど貿易全般において電子データ申請を原則化を行います。また、ブロックチェーン技術を活用したシステムで管理することにより真正性を確保し、貿易手続きの円滑化と国際貿易促進を狙っています。

【不動産登記24位】不動産関連情報・サービスのデジタル化

不動産登記時における法人売主の印鑑証明書不要化や賃貸における重要説明事項説明書等の書面電子化による不動産取引のオンライン化を図っており、さらには土地情報オープン化による土地情報基盤の実現しようとしています。

行政手続きの簡素化及びオンライン化の実現に向け制度改善などの抜本的な取り組みが必要とされています。

さらなる破壊的なイノベーション創出を目指すムーンショット目標

破壊的なイノベーション創出を目指すムーンショット-

内閣府は、2020年1月世界に先駆けて日本発の破壊的イノベーションの創出を目的とする「ムーンショット型研究開発制度」を発表しました。ムーンショット型研究開発制度とは、超高齢化や地球温暖化など様々な社会・環境・経済の課題を解決し、人々の幸福を目指す壮大な計画です。イノベーション会議で決定し、2050年までに6つのムーンショット目標の実現を目指す方針です。

1. 人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現
2.超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現
3.AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し、人と共生するロボットを実現
4.地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現
5.未利用の生物機能等のフル活用により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な食料供給産業を創出
6.経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる「誤り耐性型汎用量子コンピュータ」を実現

引用:ムーンショット型研究開発制度

ムーンショットはジョン・F・ケネディが人類初の月面着陸をするという「アポロ計画」のムーンショット宣言に由来します。人類が月面着陸するということは当時のテクノロジーでは夢物語で、誰しも実現が不可能と思っていました。ですが、アポロ計画は見事に成功しており、人類が到達しえないと考えられているものを可能とする、その再現を狙っています。

ムーンショット計画のなかには、サイバネティック・アバターによって、フィジカルな世界からサイバー空間へと導き、ロボットとの融合を目標とするものや身体的能力、認知能力をトップレベルまで拡張する目標、さらには超早期に疾患の予測、予防を図るだけでなく、疾患者を未病の状態に戻す目標などが含まれており、実現のハードルは非常に高く、困難なものではありますが、これらが実現されることを考えると破壊的イノベーションと言わざるを得ません。

これらの目標の達成は少子高齢化による労働人口減少問題、地球温暖化や資源の枯渇などの解決はもとより、SDGsの「地球上の誰一人残さない、持続可能で多様性と包括性のある社会」の実現にも寄与するのです。
ムーンショット目標はSociety5.0とSDGsの双方にアプローチし、世界の社会的課題を解決しつつ、日本発のテクノロジーの創出によって日本経済の再興も狙っているのです。

まとめ

Society5.0による取り組みは、AIのビッグデータ解析によって様々な経済発展と社会的課題を解決へ導き、超スマート社会の実現に更なる変化をもたらします。
また、新たな時代を迎えるにあたってデジタル革新は必要不可欠なものとなり、社会システム全体に大きな影響を与えると予測されます。

今後の「Society5.0」によって創られる新しい社会は人々の生活の進展にますます期待が持てるでしょう。

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