サステナビリティ

人々の暮らしが豊かに変わる、新しい都市づくりスマートシティ

スマートシティサステナビリティ

現在の社会が抱えている課題を解決し、人々がより豊かな生活をおくるための社会作りを目標にスマートシティの取り組みが進められています。IoTの技術を活用し、今までにない街・地域づくりが行われています。日本のみならず、世界各国が官民一体となって進めるスマートシティとはどういうものなのか、そして今後の社会はどのように変化していくのでしょうか。

IoTで新しい社会を創るスマートシティ構想

スマートシティ構想

スマートシティとは、インフラの基礎となる生活インフラや生活サービスを効率的に管理・運営するため、IoTやビックデータ・AIなどの先端技術を運用し、環境への配慮を心がけながら、人々の生活水準を高め続けてゆくことを目的とした新しい都市です。

スマートシティの実現にはテクノロジーの存在が必要不可欠です。IoTを活用することでサイバー空間に集積される膨大な情報であるビッグデータをAIが解析し、フィジカル空間にフィードバックすることで、クラウド上にあるデータをリアルタイムで受信、分析、管理といったテクノロジーの支援が行われることで、自治体や企業の機能やサービスが向上し、効率的な都市の運営が可能となります。

 

スマートシティにおける6つのスマート

スマートシティ「6つのスマート」

スマートシティは「スマートリビング」スマートラーニング」スマートエネルギー」スマートモビリティ」スマートエコノミー」スマートガバナンス」の6つの項目で構成され、各項目が繋がり合うことで実現されます。

このスマートシティの概念が明確に成り立ったのは、ウィーン工科大学の「スマート・シティ・モデル」です。ウィーンはスマートシティに力を入れている都市で、ウィーン郊外のアスペルン地区に関しては都市建設そのものからスマートシティ構想を基盤に開発を行っています。現在もまだ都市建設は行われており、2028年の完成を目標に期待が高まっています。

・スマートリビング(生活)

スマートシティ「スマートリビング」

スマートシティの実現は人々の生活に様々な変化をもたらします。

ICT技術の発達により超低遅延での通信が可能となり、高性能でリアルタイムでの情報の共有が行なえるようになります。テレワークによるリモート会議など、移動を必要としない仕事環境が広がります。その結果、時間を効率的に使うことで生活の中に余剰時間が生まれ、趣味や学習、社交場への参加など、自身の新たな経験に時間を充てることができます。こうした余剰時間は、生活の質を高める期待がもてます。

・スマートラーニング(教育)

スマートシティ「スマートラーニング」

スマートラーニングでは、ICTを活用した学習が特徴です。小中学校でも電子黒板やタブレットの導入した授業が始まって来ています。

ICT技術の精度が上がることでオンライン授業がより身近となり、自国にいながら国境を超えた外国との国際交流が実現し、言語や文化を理解を深め、グローバルに活躍できる人材の育成にも繋がります。

・スマートモビリティ(交通)

スマートシティ「スマートモビリティ」

都市や地方では交通渋滞や運転による過失事故、過疎地域における移動手段など、「移動」における様々な課題が山積しています。

スマートモビリティでは、完全自動運転によって交通渋滞や事故が緩和し、通勤や買い物、旅行といった長時間の運転でもリラックスしながら移動することが可能となります。またロボットタクシーや無人バス等による過疎地域のニーズに合わせた移動手段の提供など、5GやビッグデータといったICT技術とモビリティを組み合わせることで、新しい移動の形を実現していきます。

・スマートエネルギー(環境)

スマートシティ「スマートエネルギー」

スマートエネルギーは、人々の暮らしの中で環境に注目した取り組みです。

現在の主なエネルギー源である石油・石炭・天然ガスなどは、燃焼時に大量のCO2を排出してしまうため、環境面で大きな課題となっています。そこで、より低炭素なエネルギーを利用する社会の実現するべく、自然の力を利用した太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの活用が進められています。

その他にも最大限に再生可能エネルギーを利用する取り組みとして「スマートハウス」が注目されています。住宅の屋根に太陽電池を設置し、必要な電力を発電します。余った電力は熱エネルギーへの変換や電気自動車の充電などに活用されます。

・スマートエコノミー(経済活動)

スマートシティ「スマートエコノミー」

スマートエコノミーは、効率的に生産性を上げ、持続的に経済を回していく取り組みです。

近年、生産年齢人口の減少により、労働力と需要が低下が課題として挙げられます。この課題を解決するためには労働者一人一人の付加価値を高めていき、その得られる成果で新たなイノベーションや消費に循環させるシステムを構築することです。そうすることで経済的に大きな影響を与えます。

また、日用品などの買い物においては、ネット販売を初めとする様々なキャッシュレス決済サービスの普及により、スマートな支払いが一般的となり、スマートエコノミーに大きな影響があります。

・スマートガバメント(行政)

スマートシティ「スマートガバメント」

スマートガバメントは「従来型政府」と「デジタルガバメント」の後に形成される政府のあり方を指す言葉です。

「従来型政府」はトップダウン手法の政策であり、市民の声が反映されづらいのが特徴です。一方「デジタルガバメント」は「従来型政府」の未発達な部分であるテクノロジーの自動化や非効率なデータ収集など、こうした従来型政府から一歩進んだ形の政府のことを指します。

政府や地方自治体にICTが導入されることで、利便性が向上し、コスト削減に繋がります。また幅広い分野の情報を収集・分析することで、データに基づいた課題解決が可能になり、市民がより良い生活が送れる環境構築にも繋げることができます。

スマートシティ構想の核となる都市OS

スマートシティ「都市OS」

スマートシティ化が加速していく中で様々な情報が飛び交います。それらを集約し、その情報を利用できるようにするために都市OSが必要となります。

都市OSとは、都市で生成される様々なデータを管理するプラットフォームを表します。市民向けのサービスを実現するべく、自治体に求められる役割・ニーズに応え、システムの共通化と多地域展開を目標とし、開発されているものです。この都市OSはスマートシティ構想に不可欠な要素であり、これまでの都市機能をアナログからデジタルへと移行させ、人々のライフスタイルをより豊かにする可能性を秘めています。

未来の都市づくりの重要な役割を果たす都市OSですが、長期的に運用していくとなるとプラットフォームを維持するための「持続可能なビジネスモデル」が必要となります。

現在、エリアマネジメント団体はスマートシティ化にかかる投資を行うことが求められており、従来の街にはなかった都市OSやデジタルツイン、センサーネットワークなどの投資コストをいかに管理していくかという議論が行われています。こういった課題も官民連携(PPP:Public Private Partnership)することで解決できるでしょう。

 

スマートシティ実現への課題

スマートシティ実現への課題

スマートシティの実現に向けて促進していく中、いくつか課題があります。

近年、社会経済情勢の変化に伴い、少子高齢化などの社会課題が顕在化しているなかで、都市においては、都市交通の最適化、エネルギー需給の最適化、社会インフラ維持管理の効率化など、市民へのサービス水準向上・維持のための多くの課題を抱えています。

このような課題を解決するため、ビッグデータやICTなどを用いて都市を築いてゆくスマートシティに期待が寄せられています。

超高速・超低遅延・多数同時接続が可能とされる「5G」の普及や、低消費電力で長距離通信が可能となる「LPWA(Low Power Wide Area)」など、利用目的に応じて拡大した様々な通信ネットワークが課題解決対策へと推奨されています。

全国各地で進むスマートシティプロジェクト

スマートシティプロジェクト

日本各地においてもスマートシティの実現に向けた動きが活発化しています。

千葉県松戸市の「柏の葉スマートシティ」プロジェクトは、「環境共生」「新産業創造」「健康長寿」の3つのテーマに沿った都市づくりを目標に、公・民・学の連携を生かした枠組みを構築し、街への価値・愛着・誇りを地域全体として自立的に育み、持続していくエリアマネジメントを行う課題解決都市を目指しています。「世界の未来像」をいち早く実現する街として注目されています。

また、千葉県千葉市では幕張新都心を中核に近未来技術の実装を試みています。ドローン宅配サービスの実験や地域限定・特定路線での自動運転の実装を予定するなど、「ユニバーサル未来社会」の実現を目標に力を入れています。

 

海外でのスマートシティ事例

スマートシティの海外事例

日本だけでなく既に海外もスマートシティ実現に向けた取り組みが行われています。

例えばニューヨークでは、2016年に行われた「Smart City Expo World Congress」でベスト・スマートシティとして表彰され、スマートシティの先進地域として認定されています。

市民によるデータ活用を目的とし、政府や自治体が持つ情報資源を含む1,600を超えデータセットを提供しているオープンデータプロジェクトの「NYC Open Data」や、使われなくなった公衆電話を無料のWi-Fiを提供するホットスポットへ変える「LinkNYC」などが注目されています。

また、2025年までに世界のスマートシティTop20に入ることを目指しているイギリスのマンチェスターでは、電子看板やアプリなどを組み合わせて開発された、バス利用客が待機していることを運転手に伝達することができる「Talkative bus stops」の設置や、IoTタグを街灯や道路上の設備などに設置することで、様々な場所や高度で大気質をモニタリングする取り組みなどの環境面においても力を入れています。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。人々の生活を豊かにする新たな街・地域づくりには、IoTの技術が欠かせないことが分かりました。

今後、上記で説明した6つのスマート項目の進展で様々なサービスや政策が生まれ、ますます生活のあり方が変わってゆくでしょう。また、スマートシティの実現に向けて既に世界は様々な取り組みを行っており、今までにない国と国の繋がりにも期待されるます。

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